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【インフルエンサー】新時代のマーケティング入門

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ここ数年、日本でも耳にすることが増えた「インフルエンサーマーケティング」。

インフルエンサー(influencer)とは、社会に大きな影響力を与える行動を行う人物をさします。そして現在、人気インフルエンサーたちが企業と契約し、企業に代わってSNS上で新商品の使用レポートをしたり、話題づくりをしたりする「インフルエンサーマーケティング」がマーケティング業界を賑わせています。ここではインフルエンサーマーケティングの今、顕在化するリスク、そして今後のトレンドについてご紹介しましょう。

1、急成長するインフルエンサーマーケティング

今から約10年前、北米を中心にブロガーブームが巻き起こり、人気ブロガーたちが企業に代わって、InstagramやSnapchatといったSNS上で商品やサービス宣伝をするインフルエンサーマーケティングが始まりました。そして、今そのブームは加熱し、例えば1億900万フォロワーを有する全米トップインフルエンサーは、1ポスト当たり40万米ドルという桁違いの金額をスポンサー契約するケースもあるほどです。

そしてこのブームはヨーロッパにも拡大。例えばフランスでは、インターネット利用者の約75%がインフルエンサーの商品紹介を見て購入を決定しています。(Argus de la Press/Cision調べ)そしてここ日本でもインフルエンサーを起用する企業が年々増え続けています。

確かに、私たちと同じ消費者目線から商品を紹介する彼らのスタイルは、企業宣伝よりも、もしかすると消費者が本当に知りたいことに合致するのかもしれません。さらにそれが、自分が支持する人間の発言ともなると、ちょっと耳を傾けてみようという心理になるものでしょう。

また若年層を中心にテレビ離れが進み、インターネットやモバイルによる情報収集が普通になったのもブームが継続する要因と言われています。そんなインフルエンサーマーケティングは爆発的ブームを続け、2020年までに市場規模が最大100億米ドルにまで達すると言われています。(mediakix調べ)

2、広告効果の高さを評価 ― マイクロインフルエンサーの活用

そんなインフルエンサーマーケティング は、もともと高い拡散力を期待して、莫大なフォロワー数を持つ人気インフルエンサーを起用する、もしくは何10人ものインフルエンサーと契約をして広く拡散させる考え方が主流でした。つまり企業はリーチ数(広告を見た人の数)を広告効果測定の指標としていたのです。

しかし現在は、より精度の高い広告効果をあげるため、リーチ数よりもエンゲージメント数(“いいね”ボタンやコメントによる反応といった、投稿に対するユーザーのアクション数)を効果の指標にする傾向が強まっています。

そのためトップインフルエンサーよりも小規模コミュニティを有する、いわゆるマイクロインフルエンサー(5千〜1万人のフォロワー数を有する)を活用する企業が増えています。というのもトップインフルエンサーに比べて、彼らのフォロワー数は少ないものの、フォロワーとの距離が近く、強いコミュニティ力を有しているので、結果としてエンゲージメントにつながりやすいのです。

3、ブームの影にあるリスクとは?


しかしインフルエンサーマーケティングにまつわる様々なリスクがあるのも現実です。インフルエンサーマーケティングは高い拡散効果を見込める一方、彼らの発言ひとつでブランドイメージを失墜させる大きなリスクも有しているのです。

例えば、ある米トップインフルエンサーは、ネット上で妊婦向け薬品を紹介。しかし薬事法に沿った正確な説明をせず、販売元の製薬会社から報酬を受け取って宣伝していることを明記しなかったため、FDA(米食品医薬品局)に厳しい警告を受け、この掲載は大きな波紋を呼びました。販売元製薬会社のブランドイメージを傷つけたのは言うまでもありません。

この例からもわかるように、企業は業界や取扱商品に応じて、インフルエンサーマーケティングを本当に活用すべきか、社内での考察を徹底しなければいけません。そして活用する場合は、企業とインフルエンサー間でインフルエンサー広告のルールや留意事項をしっかりシェアしておく必要があります。つまり自社の企業イメージや企業価値を守る「ブランドセーフティ 」の考えを持った判断が、企業のリスク回避につながるのです。

また不正なインフルエンサー広告の増加も深刻化しています。消費者としては、十分なフォロワー数とエンゲージメント数があれば、その広告商品は良いと鵜呑みにしてしまいがちです。しかしインフルエンサーを抱えるPRエージェンシーが、企業と契約したリーチ数、エンゲージメント目標数を達成するため、フォロワーを売買していたり、インフルエンサー同士が互いの投稿をシェアしてリーチ数、エンゲージメント数を水増ししたりする、不正と言わざるを得ない行為も中には存在するのです。

インフルエンサーマーケティングを活用する企業は「消費者に、ブランドや商品を正しく理解してもらい、興味を持ってもらう」という本来の目的を見失わず、インフルエンサーを活用することが大事になるでしょう。

そして消費者にも、インフルエンサーのリーチ数やエンゲージメント数を鵜呑みにしない冷静な姿勢が問われているのかもしれません。

4、今後のトレンド

2019年世界中でさらに爆発的ブームがあると言われているインフルエンサーマーケティング。今後も、そのシェアの拡大傾向が続くと言われています。

例えばマイクロインフルエンサーよりも更に小規模コミュニティで根強いファン層を持つナノインフルエンサーの活用が増えるという見方もあり、今まで市場を牽引してきたファッション、ビューティ、コスメ商品に代わって、ニッチな業界の商品PRでインフルエンサーマーケティングを活用する例が更に増えるかもしれません。

また成長市場としては、もともとSNS使用率が非常に高い東南アジア諸国における、インフルエンサーマーケティングの高い効果に期待が寄せられています。

5、まとめ

 

このように世界的ブームが続くインフルエンサーマーケティング。

活用する企業、消費者、そしてインフルエンサー自身がリスクを十分に認識し、より良い消費活動につながるといいですね。